①作者は何世紀、どの国の人か
19世紀-20世紀イギリスの小説家。父はイギリスの著名な文芸評論家。
1885年、13歳の時に母が48歳で急死し、その2年後の異父姉ステラが死んだことによって、ウルフは精神を患うようになり、生涯にわたり苦しめられる。
②その時代のその国では何が起こっていたか
1914年から1918年までの第一次世界大戦、1939年から1945年までの第二次世界大戦。
③あなたが本の中で最も印象的だった場面はなにか
『レーツィアは飾り窓の前で立ちつくした。それでも、どうしても男の子がほしいと言う。 あなた似の息子がほしい、とレーツィアは言った。あなたみたいに穏やかで、まじめで、頭のいい子……って高望みかしら。わたしにもシェイクスピアが読めると思う? シェイクスピアって難しい作家なの? こんな世界にどうして子供を生めようか。苦しみを永遠に固定化するようなものではないか。いや、強欲な生き物を増やすだけか──感情が持続せず、気まぐれと見栄の命ずるままに、今日はこれ、明日はあれと漂うだけの生き物を……?』
『人間にとっての大事は、一瞬の快楽の増大。その目的にかなうとき以外、親切・信念・慈悲など持ち合わせない。妻がいくら聞こえないふりをしても、それが真実だ。人間は群れて狩る。群れて砂漠をうろつき、叫びたてながら荒野の果てに消えていく──倒れた仲間に見向きもせず、顔に嫌悪の表情を貼りつけたまま』
④あなた自身が最も生きにくく感じていることはなにか
人間とは、強欲で、感情が持続せず、気まぐれと見栄の命ずるまま、今日はこれ、明日はこれと漂うだけの生き物で、一瞬の快楽の増大にかなう時以外、親切、信念、慈悲など持ち合わせておらず、永遠に苦しみ続ける定めなのか。
⑤この本を読み終えたあとで、世界とあなたとの関わり方はどう変わったか
⑥作者はいつ、どのように死んだか
『幕間』(没後出版された)の原稿を完成させた後、ウルフは以前にも経験したのと同様の躁うつ病状態に陥った。第二次大戦が勃発し、ロンドン大空襲によって家が破壊されたこと、亡くなった友人ロジャー・フライの伝記の評判が芳しくなかったことで症状は重くなり、仕事ができない状態になった。ウルフはコートをはおり、そのポケットに石をつめて自宅近くのウーズ川で入水自殺した。
⑦その本は現代までにどのような受容のされかたをしてきたか、そしてそのことについてあなたはどう思うか
モダニズム文学の代表作。
『人間の思考を秩序立てたものではなく、絶え間ない流れとして描こうとする』”意識の流れ”によって描写は美しくも【突然、視点が別の人になったりする】複雑さの中で描かれている。
文体が独特で、慣れるまでは読みづらかった。慣れてしまえば味わいとして楽しめる。
難解な小説といわれている。
小説全体として、結局どういうメッセージが込められているのかが読み取れなかった。
作者はセプティマスをクラリッサの分身として描いたとあるが、クラリッサの負の部分をセプティマスが背負って自殺したとでもいうのか。
テーマとして「戦争」というものも捉えられていると思うが、明確なメッセージが見えてこない。
かといって、単なる娯楽小説とも言い切れない。
何かがありそうだけれどもそれがなにかはわからなかった。