なんとも胸糞悪く不愉快な小説であった。
男女平等なんてきれいごとである。
男女の根本的な関係性なんてこんなものだ。
なぜ胸糞悪いかというと、多かれ少なかれ自分にとってもあてはまる、思い当たるふしがあるから。
女は女の武器を使って、男を誘惑する。男はそれに抗いきれず屈服する。
どんな夫婦間においても、根っこの部分ではここに書かれていることに近いことが、何かしらあるのではないだろうか。
男の愚かさ、自分自身の愚かさを指摘されているようで不愉快になる。
この小説はナオミ23歳、譲治36歳で終わっているがこれからどのように二人の関係性は発展するか。
金の切れ目が縁の切れ目。譲治に金がなくなれば、ナオミは譲治を捨てるだろうか。
いい暮らしをさせてもらうということの他にナオミは譲治に何かを感じているのか?
ただいい暮らしをさせてくれる都合の良い存在でしかないのか。
譲治の独白調で書かれているので、本当のナオミの気持ちはわからないが、
金がなくなったとしても、二人は一生離れられないのではないかと思う。
ナオミならば、金とか、良い暮らしだけが目的であるならば譲治でなくとも、他で簡単に手に入れられる気がする。
それなら、ナオミの方でも譲治に愛着を感じていて、離れがたく感じているが、相手の優位に立って自分の都合よく譲治と一緒にいたいのではないか。
人間を作ったのは誰か知らんけど、なんで性別とか作ったんやろうとか思いを馳せてしまう。
性別の区別なく子孫を残せて、種の永続できるようにつくってもよかったのに。
そもそも寿命とかなくしてもよかったのに。
なんでこんなにややこしく作ったのか。
何が目的で作ったのか。そこに意思はあるのか。
そもそも誰かが作ったものではないのか。
勝手に自然と今のように出来上がったのか。
原因があれば結果がある。結果には必ず原因がある。
この人間の原因はなんなのか。なんでなんだ。