『グスコーブドリの伝記』を読み終わったとき既視感(既読感?)を覚えた。
二つの小説に関して、話の骨格は同じではないか。
ざっくりいうと、自らの経験を糧に主人公一人の頑張りによって多くの人命を救った物語である。
ただし、そのきっかけはまるで正反対である。
人を殺め、強盗を働き続けた償いとして、多くの人命を救うことで自らも救われることをもとめて行動する前者と、何も悪いことをしていないが、人々の苦しむ姿をみて純粋に自己犠牲の精神のもとに、自らの命と引き換えに多くの人命を飢饉から救った後者。
結果的に多くの人を救ったことに双方変わりはない。
ただ、前者は利己的な動機で、後者は利他的な動機で働いた。と自分には読めた。きっかけの時点ですべては決している。
それに関して、他人にばれようがばれまいが、自分を欺くことはできない。
すべての物事はつながっている。時間は戻らない。